※ページ数が多くなったので文章で



小子を救わなければならない!
 

「レッド、どうすればいい!?」
レッドは淀みなく必要なことを答える。
「いい? あれはあの子のソウルゲルが割れて中からグリーンシードというものが出てきてしまっているんだ。グリーンシードは周囲の人間の邪念を集め実体化させる力がある。あの姿がまさしくそれだ。…あの子を助ける為にはグリーンシードを魔力で包み込みソウルゲルに復元したあと、それを彼女の心に混ぜ込みなおすんだ。」
リノはその説明を真剣に聞いていた。だが、理解が追いつかない。
レッドはそれをわかっている上で簡単に言い直した。

「変身して倒す。それでおk」

リノは変身呪文を叫んだ。
服が粒子に解け。再構築される。
光が幼い肢体を余すところ無く包み込み、引き締められていく。
力を効率的に増す装飾が姿を現し温度をもっていく。

ぱちべぇは眼を細めそれを眺める。
「マジカルジュッセリーノ…、友人を殺すつもりかい?」
リノは真っ直ぐぱちべぇを見て響く声で短く…
「救う」
それだけ答え走り出した。


ウーロブチーゲンは空中に佇んでいた。動く気配はない。
「小子! 聞こえるか!! 小子!!」
リノが呼びかけながら近づいていくとウーロブチーゲンはビクンと反応する。
「kぁ;卯vパ・4卯v亜cjウェイ\:qitviqぴpq」
大きく叫びながら口から何かを吐き出した。これは…
「跳び箱!?」
跳び箱はリノ目掛けまっすぐに発射された。その速度は音速、衝撃波を撒き散らしながら当たれば確実に致命傷を与える弾丸である。
リノはそれを見て、見えて、魔法障壁(イエローサンクチュアリ)を発動、展開。
すると跳び箱は障壁にぶつかりはじかれ、音を立てばらばらになった。
ウーロブチーゲンはそのまま連続で跳び箱を吐き出していく。
同じように障壁が防いでいくが徐々にヒビが入ってしまう。
リノの盾が優秀であろうと強度には限界があるのだ。
「小子! このままでいいのか? お前、かっこ悪く利用されたんだぞ…このままでいいのか!」
障壁に亀裂が広がっていく。
「私はお前を救うぞ、その為に努力するぞ。かっこ悪くたっていいんだ。みっともなくあがいてあがいてお前を助け出してやる!」
亀裂が裂け目に
「いいか小子! 私は目を瞑っていた! 跳び箱を跳ぶ時目を瞑っていたんだ!」
リノは自ら障壁を解いた。
「ジュッセリーノ!何を…!?」
「お前に努力の凄さを教えてやる」
リノは音速で発射された跳び箱に対して飛行呪文を唱えながら飛び込んでいく。
「格好なんて関係ない! 私は私のしたい事をする!!」
衝突する0・01秒前、リノは飛んだ。
目は真っ直ぐ跳ぶべき相手を見据える。タイミングよく最高に位置で踏み切り。
手を伸ばす!

バン!上面を垂直に捕らえる!そのまま自分に引き寄せ、飛び越す!!

リノは跳び箱を跳んだ。

タイミングよく次々と発射された跳び箱を飛び越えていく。
いつしかウーロブチーゲンとの距離は1メートルにも満たない位置になり…
ブルーロッドが敵の額を捕らえる。
光が杖の先端に集中していく…神々しい煌きが炎となり加速され、

「いくぞ小子…歯を食いしばれ!! 大破滅衝超鬼砲(ハイパーオーガバスター)!!」

閃光が魔獣を貫いた。






小子が目を覚ました時、そこは体育館の裏だった。
「え…」
何があったか思い出せない。前後の記憶がない。

「やれやれ、目を覚ましたようだね」

小子はわっと驚いて声のした方向を見る。目の前には魔法少女アニメのマスコットキャラのばったもんみたいな猫がいた。
「すごいなあの子は、君は絶対に助かることはないと僕は思っていたけど…流石は無限魔力の魔法少女。君の霧散した魂を無理やり収束して再構成してしまった。」
小子にはこの猫が何を言っているのかわからない。だけど、ふとクラスメートの樹瀬りののことを思い出した。
―私はお前を救うぞ、その為に努力するぞ。かっこ悪くたっていいんだ。
「……」
「でも、そのせいで君は跳び箱が飛べる前の肉体に戻ってしまった」
―いいか小子! 私は目を瞑っていた! 跳び箱を跳ぶ時目を瞑っていたんだ!
「……」
「どうだい?もう一度契約してみない?あの飛べたって快感をもう一度味わってみたいだろう?」
―格好なんて関係ない! 私は私のしたい事をする!!
「いらない」
「え?」
小子は思いっきり目の前のむかつく猫を蹴り飛ばした。渾身に力を籠め降りぬく。
「私…自分の力で飛べるようになる。



―次の日―


りのが下校中に公園を通ると、りのがタイヤ跳びで跳び箱の練習をしていた。
「見ろよ、飛べないからって一人で…かっこ悪いよなぁ」
近くにいた男子が囃し立てる。りのはむっとしてその男子に何か言おうとすると…
「いや、そうは思わねぇ。あんだけ何かに頑張ってる奴ってのはカッコイイもんだ。俺はああいう諦めない奴好きだぜ」
隣の男子はそう言って、軽口を叩いた男子は「なるほど、そっすね」と反省した。
見ると、それは二組のユキという男子ではなかったか。


「あ、跳んだ!」
「跳んだぞ!」
「パネェ!マジパネェ!!」
綺麗な着地を見せた少女に小さな歓声が上がった。

 

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